年金に関する質疑 


2001年12月11日

●決算委員会


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○田嶋陽子君

 社民党の田嶋陽子です。よろしくお願いします。
 きょうは年金のことについてお伺いします。
 年金は、国民年金も空洞化を言われておりまして、厚生年金も、不景気のせいもあり小さな会社がふえたこともあり、やはり空洞化が言われております。その中で、国民年金の第三号被保険者、すなわち専業主婦ですね、その人たちにかかわる種別変更の届け出についてお伺いしたいと思います。
 その前に、この第三号被保険者、すなわちこの保険者の九五%以上を占める専業主婦の状況について聞いていただきたいと思います。
 皆さんのところにお配りしました三枚の紙があると思いますが、そのうちの二枚目に入っておりますでしょうか、三号被保険者がどういう状況にあるかというのを表にしてあります。いわゆる専業主婦の人たちは、九十九万円未満の収入の場合は住民税も所得税も国民年金の掛金も医療保険の掛金も払っていません。これは普通、夫が払っているものと思われていますが、そうではなくて、専業主婦は国民全体でこの年金の掛金、医療保険の掛金を支えています。
 百三万円未満になりますと住民税は支払いますが、所得税とそれから国民年金、医療保険の掛金は相変わらず払う必要がありません。ところが、百三十万円未満まではいいのです、百三十万円未満ですと住民税と所得税は払うようになりますが、国民年金の掛金と医療保険の掛金は相変わらず国民全体で支えております。
 なぜそういうことになったかということは、皆さんも御存じのように、戦後日本の経済的復興を果たすためには動きやすい男性を主な働き手として、男は外に女は内にということで男性を中心に保険制度も何もつくり上げてきた結果がこういうことになっているわけです。
 ところが、現在は女性たちの意識も高まり、均等法もできて、そして専業主婦の人たちもパートや派遣で働くようになりました。そうしますと、この百三十万円未満を超えて、百三十万以上の収入があるようになります。そしてまた、不況の折もあって、男性が失職したり、いろんな理由があって、とにかくパート労働をする人、派遣労働をする人がふえているわけです。
 けさ、たまたま見つけた朝日新聞の記事に、まさに今、女性全体がどのような方向に向かっているかということをよくあらわしている投書がありました。添削指導員の三十七歳の専業主婦の人の投書ですけれども、脱扶養家族を目指してというものです。ちょっと内容を読ませていただきます。
  夫に扶養されるのが当たり前と思いこんでいた二十六歳のころ、会社をやめて専業主婦になった。出産後に始めた添削の仕事が性に合っていたのか、始めて十年になる。この十年の間に、いろいろな刺激を受け、考え方も変わり、経済的自立を目指すようになった。目標は「脱扶養家族」である。
  仕事量を少しずつ増やした結果、昨年めでたく夫の所得から配偶者控除がなくなり、住民税を自分で納めるようになった。
要するに、先ほど説明した百三万円未満のところに行ったわけですね。住民税を自分で納めるようになったら、
 やっと一人前の市民になった気持ちだ。以前より堂々と、また責任を持って市政に意見を言えるようになった。
  そして今年、年収が百三十万円を超え、来年から国民健康保険料と年金を自分で払えそうである。正直言って不安はある。多くの女性が夫の扶養の範囲内に年収を抑えているのに一人、意地を張って、払わなくてもいいお金を払っているようにも思える。
この人は、百三十万以上超えたときに払うお金を「払わなくてもいいお金を払っているようにも思える。」と言っています。
 次、続けます。
  しかし、年金も保険も税金も、だんだんと妻が働きやすい制度に変わるだろう。一日も早く、働く妻が損をしない社会に、そしてゆくゆくは、老若男女にかかわらずだれもが自分のペースで働けて、年金も税金も平等に納められる社会になればいいと思う。
というふうに、この方は国が新しいいい方向に行くことを期待していらっしゃるわけですね。
 ただ、ここで、先ほども申し上げたように、払わなくてもいいお金を払っているように思えるというのが、この百三十万円を超えた場合に結局今どういうことが問題になっているかというと、先ほど最初の質問で申し上げた種別変更の届け出をしないといけないんですね。
 例えば、どういうことをするかというと、まず夫の会社で夫の扶養から外れるということを申請しないといけません。この段階で、夫は自分の妻が扶養から外れることで余り快く思わない人もいます。それからもう一つは、自分で役所へ行ってその手続をしないといけません。でも、いろいろ聞いたところ、見たところ、こういうことを知っていらっしゃる方は少ないんですね。そして、その結果、百三十万円を超えても国民年金の掛金も健康保険の掛金も払わないままに過ごしていらっしゃる方が全国に大変多くいらっしゃいます。
 会計検査報告、十一年度の決算を見ますと、会計検査の報告を見ますと、たまたま抽出で調査をしたんですが、二十六都道府県の百六十七社会事務所管内の六十五市町村、そこで第三号被保険者のうち二万六千百二十四人を抽出して調査した結果、平成十年度と十一年度、その二つを調査したんですね。それを平均すると、いわゆる脱税ではありませんが未納入の保険金が一億二千七百万以上あります。それを全国平均で試算しますと年二百二十七億円になります。
 すなわち、専業主婦で百三十万円を超えて働いている人、その人たちがもし年金を支払ったら、基礎年金は二百二十七億円毎年少なくともふえるということです。しかも、パート、派遣の労働者たちは大変ふえているわけですね。それで、もしこの現行の年金制度を続けていくとしたなら、ぜひこの人たちにきちんと納入していただかなければいけないわけです。
 それに対して、要するに百三十万円過ぎたら強制的にこの保険に、国民年金に加入しなければいけないんですが、知識不足、あるいはもっと言ってしまうと、社会保険庁の広報不足でこういうことを主婦の人たちが自覚していないということです。先ほどの人は百三十万円を超えたら市民としての自覚ができたと言っていますが、大方の専業主婦の人たちはその自覚が足りないわけですから、社会保険庁はそのことをきちんと広報で知らせるべきです。お聞きしたところ、パンフレットなどを事務所に、事業所に出しているということですが、これが徹底していないということですね。
 ただ、もう一つは、これはよく言われることですが、事務所を経営している人から、就労調整をする、すなわち税金を納めないだけでなくて年金も健康保険の掛金も払わないでいるような就労調整を頼まれて、その結果、非常に事務が煩瑣で困る。すなわち、二つここで問題があります。一つは事務所が非常に煩瑣な事務で困っているということと、女性でもこの意識がある人は就労調整をして税金も年金の掛金も支払わないような努力をしているということですね。それは逆から言うと、女性が金銭的な抑圧で自立できない方向に社会が向いているということです。
 そこで、もし現行制度を徹底してやるとしたならば、社会保険庁に、どのような広報活動の対策を立てていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。


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○政府参考人(冨岡悟君)

 国民年金等の広報について御説明申し上げます。
 御指摘の点につきましては、事業主を通じまして、大変重点的にはパートの方を多く雇っているような事業主の方、それから市町村を通じまして、具体的にパンフレット、そういったさまざまな素材の中で、年収が百三十万円以上になる場合には被扶養者ではなく第三号被保険者から第一号被保険者に変わるのでその届け出が必要ですということをかなり具体的に記載しましたパンフレット等をお配りしております。それから、市町村の広報を通じましてそういったことにつきましても努力しております。
 こういった中で、私どもとしては、なるたけこういった届け出をしないことによりまして年金に結びつかないといったことがなくなりますよう努力しているところでございまして、今後ともその努力を続けてまいりたいと思っております。
 以上でございます。


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○田嶋陽子君

 効果のある努力を続けていただきたいと思います。少なくとも、現在の年金制度の中でそれは大変な収入になると思います。
 それから、今度は年金制度の改善について厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。
 まず、今、パート労働者、それから派遣労働者が大変ふえているわけですけれども、そして一方では、年金検討会などでその百三十万円の額を六十五万円にしたらどうか、引き下げた方がもっと女性たちは年金に対する支払いがたやすくなるんではないかということを考えています。そのことに関してどう思われますか。
 それともう一つ、年金加入の条件を緩くするということで、今のところはフルタイムの人の四分の三までの就労時間ですか、それまでを満たしている人が年金に加入できるわけですね。ですけれども、それを二分の一に引き下げる。その二つの点についてお伺いしたいと思います。
 実際、一九九六年度のパートタイム労働者の総合実態調査報告では、パート労働者の六四%が健康保険とか厚生年金には加入していないという事実があります。
 以上二つのことをよろしくお願いします。


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○政府参考人(辻哲夫君)

 まずもちまして、現在の検討状況を御報告申し上げたいと思います。
 今御指摘のように、女性と年金検討会というものが行われておりまして、今月中を目途に今取りまとめに入っていただいておりますが、御指摘のような問題が既に指摘されておりまして、例えば今御指摘のように四分の三基準あるいは百三十万円基準といったものをもっと引き下げる、具体的に言えばもっと適用拡大をするという方向について議論が行われておりまして、そのような方向のもとで、ただ、保険料負担がその場合は増加いたしましたり、年金財政への影響もございますので、そのような論点について議論を重ねていくべきということでございますが、そのような方向に向けての取りまとめが現在議論されているところでございます。


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○田嶋陽子君

 女性自身が、ぜひ一人一人が自分の年金を持てるように、先ほどの表に示しましたが、これですと、例えば国民の義務というのは、税金を納める義務と、それから仕事について働く義務があります。でも、第三号被保険者は、仕事にはついています、家事労働はしていますが、これは不払いですから給与明細がありません。いわゆるシャドーワークとも言われますし、アンペイドワークとも言われますけれども、大の大人の女性をそういう状況にいつまでも押し込めておくことは国としては大変な損失になると思います。
 そして、やっぱり税金を納めたくても納められないということは、これは人権問題でもあると思います。やはり、納めたい人は、主婦の中には現在自分は税金泥棒と、そう思っている、言われているという、そういう屈辱感を表明する人もいます。そういう意味で、女性が一人一人が自分の年金を持つということ、女性の自立を阻んでいるのは一つに年金制度もあるということをお伝えしておきます。
 それから、例えば年金の経緯を見ますと、昭和三十六年、一九六一年の年金制度の改革のときには専業主婦の人は無年金でした。男の人が保険料を、夫が保険料を払って夫がその年金をもらうと。それから、六十年、一九八五年の年金制度の改革では初めて専業主婦の人が年金をもらえることになりました。これは、長年御苦労さまですということもあると思いますが、先ほども説明しましたように、この専業主婦の人たちも夫もこの主婦の年金を支払ってはいません。国民全体で専業主婦を支えてきました。今度は、二〇〇四年の年金改革のときには、専業主婦の人も一人の人間として、専業主婦であろうとなかろうと、一人一人が自分の年金を支払い、そして離婚しようとしまいと、自分の年金は自分で手に入れるという、そういう個人をきちんと確立できるような、そういう年金制度にしていただきたいと思います。
 それで、そのためにはこの年金制度を、どうしても男と女をセットにして動き回すというのではなくて、一人一人が個立して、個人で自立した上での相互扶助形態になる個人単位化に進めていってほしいと願っております。
 そして同時に、いきなりそれは変えるのではなくて、年金制度は、今五十代の人、六十代の人はずっとそういう生活を長く送ってきたわけですから、そういう新しい制度をつくりながら移行措置をきちんとつくっていただきたい、経過措置ですね、つくっていただきたいと思います。昔からいる人はこれでも生きていけるんだというそういう形、でもこの年代の人からはこう変わるんだという経過措置を考えた制度をつくっていただきたいと思います。
 それから、現在、先ほどもおっしゃってくださったように、女性と年金検討会というものがありまして、いろんなことが議論されていますけれども、下手をすると女性と年金のことは皆さんの視野の中からそげ落ちてしまうような危機感があります。来年の一月から発足する社会保障審議会の年金部会でもぜひ女性と年金のことを取り上げてほしい、継続して取り上げていってほしいと思います。
 私は、小泉首相が構造改革と言っていらして、大変賛成ですが、私は長いこと女性と男性の関係の構造改革を唱えてきました。男と女と半分ずつです。ボーボワールに言わせると二等市民扱いされている女性が普通の人間として扱われるためには、この年金制度と同時に、保険制度も税制度もいろんな意味で変えていっていただきたいと思いますが、とりあえずはこの年金制度、二〇〇四年にかけて、女性が国民としてのきちんと義務を果たせるようなそういう制度に変えていっていただきたい。そしてこの構造改革、男と女の間の構造改革をきちんとしない限り、私は日本という国は何をやってもがたがたの国になると思っています。
 よろしくお願いします。


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○国務大臣(坂口力君)

 女性と年金につきましては、先ほど局長からも答弁がございましたとおり、女性と年金検討会におきまして精力的に今議論を進めていただいているところでございますが、一応その議論は収束する方向に向かっております。その後は、先ほど御指摘になりましたように、年金全体の審議会におきまして議論をしていただくということになっています。これは、社会保障審議会年金部会というのがございまして、来年の一月から本格的な議論に入っていただく予定をいたしております。その中で、この女性と年金検討会の中で議論をしていただきましたこともその中で取り上げて、そしてそこでもう一度トータルの年金制度の中にどう位置づけるかということを議論をしていただく予定にいたしております。
 女性と年金の問題につきましては、今御指摘になりましたように、いわゆる個人としての年金にするか、世帯としての年金にするかという大前提の大きな問題がございまして、いよいよその辺のところから議論をしていただくものというふうに思っております。あるいは、応能負担、応益負担というような問題もそのほかにあろうかというふうに思いますが、そうしたものも含めて議論をスタートさせたいというふうに思っておるところでございます。


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○田嶋陽子君

 それでは、ぜひ続けて、一月から始まる社会保障審議会でもこの問題を取り上げてくださるよう、よろしくお願いいたします。
 これで終わります。

田嶋陽子の

「書アート

こもれる日々

      2017615日(木)~621日(水)

    ギャラリー      コンセプト21

 

         (港区北青山3-15-16              TEL03-3406-0466

 

2016年8月~予定

●ZEN展 

2016年

8月22日(月)

     ~29日(月) 

東京都美術館 

ロビー階第一展示室

東京都台東区上野公園8-36

TEL03-3823-6921

開館時間 9:00~17:30 (入館は17:00まで) 

 

●田嶋陽子書アート展

 ギャラリー花の妖精

2016年9月3日(土)

   ~ 9月11日(日) 

 

長野県軽井沢町

発地116-6 

電話0267-48-1273

田嶋陽子歌とトークショ 9/3(土)16時~

●CACA現代

      アート書展 

2016年9月13日(火)

    ~9月18日(日)

アートスペースリビーナ港区北青山3-5-25

表参道ビル4F

 

電話03-3401-2242

What's New

脳ベルshow(BSフジ)

1/20(水)22:00~

1/27(水)22:00~

 

 

田嶋陽子書アート展 & 歌

2016年

6月4日 土~7月24日 日 

笠間日動美術館 

企画展示館1階

茨城県笠間市笠間978-4 電話0296-72-2160

開館時間 9:30~17:00 (入館は16:30まで) 

休館日 月曜日

(祝日の場合は開館し、その翌日が休館)

★田嶋陽子歌とトーク 7/2(土)18時~ 

2016年

9月3日 土~9月11日 日

ギャラリー花の妖精

長野県軽井沢町発地116-6 

電話0267-48-1273)

★田嶋陽子歌とトーク 9/3(土)16時~