児童虐待防止に関する自由討論

●共生社会に関する調査会

2002年5月8日


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○田嶋陽子君

 社民党の田嶋陽子です。
 私が昨年来六回行われた質疑でいつも関心を持ってきたことは、児童虐待を未然に防ぐということ、それから暴力の連鎖を断ち切るということ。そのためには、現在の男と女の関係、支配、被支配の関係を変えなければいけないということ。それと同時に、社会システムを変えていかないとこの児童虐待はなくならないということを私なりに申し上げてきたつもりです。
 前回に引き続いて強調したいことは、暴力を受けているかもしれない母親が自分の受けた暴力を子どもに返していく可能性があるということです。最も単純化すると、夫が妻を殴り、殴られた妻が子どもに暴力を振るうという構図です。
 これはこの前も申し上げたと思いますが、アメリカでテロが起きてから世界じゅうの多くの人たちが口にしていることが暴力の連鎖ということで、私の考えでは、世界で起きていることは実は小さな学校の中でも起きているし小さな家庭の中でも起きている、すなわち、世の中で起きている上下関係の構図というのは家庭の中にある構図と同じ、家庭は世界の縮図なんだということです。
 児童相談所に相談があった虐待ケースの統計によれば、虐待者の半数以上が実の母であるということ、それから虐待傾向あるいは虐待ありの人は虐待なしの人に比べて夫との人間関係が悪いということ、悪くなくてもその夫と妻の間には上下関係があって言いたいことが十二分に言えないということ、夫の方は妻が何にも言わないから妻は満足していると勝手に思い込んでいるということ。
 例えば、ここにドメスティック・バイオレンスについて書いた人が、梶山さんという方ですが、「子どもをいじめるな」という本の中で、九五年に全米子どもの虐待諮問理事会がこういうことを報告しています。ドメスティック・バイオレンスは子どもの虐待死の最も重視すべき前兆だ。これは今私が申し上げてきたことと同じで、家庭内暴力、妻に対する暴力があるところでは子どもに対する暴力も母親によって起こされているということです。
 そして、やはり児童虐待をなくすためには、男性と女性との間にある上下関係、もっと言ってしまえば、おれは男だ、おまえは女だという身分関係ですね。もう身分関係は日本ではないはずなのに、男と女の間には厳然として性別役割分業という形で残っている。その身分関係をなくしていかなければいけないということです。そこから、よく言われているように、やっぱり女は家に、男は外にという性別役割分担発想を変えていくこと。
 ですけれども、女性が一生懸命働いている男性に子育てをしてくれと言うことは非常に残酷なことであって、男性は壊れてしまいます。なぜなら、今の社会システムでは男性は専業主婦がいて働ける構造になっているわけですね。ですから、そこに、無理な子育てを夫に頼むということは、これは非常に酷なことです。ということは、国が政策として男の人を働きバチにしないような、きちんと家庭が守れるような、そういう働き方を早く作り上げて変えていかなければいけないということです。
 実際、私は、働く女性が一生懸命働きやすいようなそういうサポート体制を作るように私なりに努力してきました。その結果、政府も今は、保育園その他、働く女性が働きやすくなるように努力し始めて、働く女性たちは少なくとも子どもをもっと産んでもいいと思えるような社会になりつつあります。その結果、どういうことかというと、むしろ現在は、働く女性の方が出生率が専業主婦の場合より高いんですね。
 例えば、育児の負担感ということでいうと、共働き女性が二九・一%、片働きの女性で四五・三%、片働きという言い方はおかしいですが、専業主婦の場合ですね。すなわち専業主婦の場合が、良いお母さんにならなきゃいけないというその完璧主義、世間の目、お母さんなんでしょう、一人目は、二人目は、三人目は、えっ、夫の世話もできないの、えっ、夫に一人で洋服脱がせているの、背広の世話ぐらいしなさいよ、そういうことを言われながら、一方で、一日じゅう専業主婦のお母さんたちは子どもとさしでいなくてはいけない。
 私が聞いた話の中では、これは児童虐待にまで行きませんが、余りにもおむつの取れない息子のおむつの中に手を突っ込んで、そのふんを子どもの顔になすり付けた、お母ちゃん怖いよというようなそういう状況まで起きているが、それは密室の中で起きているから、子育てが終わった後でみんなが笑い話で言えるようなことですが、これが続けば、それは児童虐待になっていくわけです。
 そういう意味で、私が言いたいことは、働く女性同様、たまたま女は家庭にと言われて育った女性たちが専業主婦になった場合には、その人たちが、先ほどから皆さんがおっしゃっているような、その人たちの子育てを助けられるような、専業主婦の人たちも気軽に子どもが預けられるような、すなわち、一日一時間や二時間自分たちの時間が取れるようなそういうシステムもこれから同時に作っていかなければいけない。
 ところが、今、そうやって子どもを育て始めたところの保育所で、例えばこれは香川県で起きたことで皆さんも御存じだと思いますが、小鳩幼児園というところで園長さんが子どもをけ飛ばして死なせてしまいました。それは、寝かせてもむっくり起き上がってくるのにいらいらしてけ飛ばして殺したわけですね。
 要するに、どういうことかというと、子育てということが世間で余りにも女の仕事として、これが社会的な仕事という認知がなくて、世の中を背負う子どもたちをみんなが育てているんだというそういう認識がないものですから、女の領域に閉じ込めていたせいで、今度、保育園が作られても、あるいは子育てを女の人たちがするようになっても人手が足りないわけですね。すなわち、お母さんも一人で密室で子育てしている、保育園でもまた人数が足りない。すなわち、徹底的にこの辺には予算が足りないわけですよね。
 ですから、本当にみんな、老後の世話を今の子どもたちに見てもらいたいと思うんなら、そのための少子化現象をやめたいと思うんなら、もっとたくさんの、たくさんのお金をここの子どもに掛けなければ、子どもに関することに、保育園に、システムに掛けなければいけないということを私は強調します。
 あと、いろんな行政的なことは皆さんがおっしゃってくださったのですばらしいと思います。ただ、私は、この連鎖をなくすためには、もう少し先を見た上での施策、本物の構造改革が必要だということをもう一度強調して、終わります。





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○田嶋陽子君

 ありがとうございます。
 先ほど有馬委員の方からお話がありましたが、命の大切さということですが、これですと、まるでお母さんたちは命の大切さが分かっていないように思われるかもしれないんですが、虐待を繰り返すお母さん、あるいは虐待まがいの、もうちょっとで虐待に至るぐらいの状況のお母さんたちは、いつも子どもを殴ったり子どもをいじめた後に自己嫌悪に責めさいなまれて、こんなにかわいい子をどうして殴ってしまうんだろうという、そういう気持ちでいるんですね。命の大切さが分からないわけでも、子どもがかわいくないわけでもないんです。そこのところをよく分かってほしい。それでも起きてしまうから法律作らなくてはいけないし、いろんなシステム作らなければいけないという、そういうことだと思うんです。ですから、文字に書くことは大事ですけれども、もう一歩踏み込んでいただきたいというふうに私は思います。
 それからもう一つ、子育てというのは二十四時間なんですね。で、ここに、近ごろ女の人たちは、主婦の人たちが自分たちの気持ちを表すようになりました。そして、筆の立つ人たちは本を書くようになりました。そういう人たちが集めた主婦の言葉の中にこんなものがあります。要するに、世間では、子育てはすばらしい、子育てをしながら自分は育つ、子育てだって立派な仕事なんだ。これは物すごい若いお母さんたちにとってはプレッシャーなんですよね。それで、お母さんたち、若いお母さんたちはそんなふうに思っていないんです。でも、そういうことを言われるたびに、自分が悪いのかな、自分が至らないのかなとまたストレスに駆られてまた子どもを殴ってしまうという、その悪循環もあるんですね。
 で、その人たちは何と言っているかというと、仕事、男のする仕事はくだらないかもしれない、でも子育てはそれよりも更にくだらないと言っているんですね。ここを一度きちんとその人たちの立場に立って見てみないといけないと思います。子育ては三K以上につらくて、きつくて、くだらないと思っているんですね。それでも子どもがかわいいから、この子が大きくなるまではと思ってみんな我慢に我慢を重ねている。でも、夫は手伝ってくれない。周りから、子育てはいいことなんだよ、あんた、お母さんとして不十分なんだと言われてはプレッシャーで苦しんでいると。しかも、女はみんな一度は家庭に入りたいと思って家庭に入るわけですけれども、それだって何かといえば、子育てはすばらしいと言われて家庭に入るけれども、この人たちに言わせれば、結局、女が家庭に入って子育てすれば安上がりなんだろうって。ということは、結婚して子どもを産んでみて初めて分かるわけですね。
 で、今度はその上に、あんたは主婦やっていて夫に食わしてもらっていいねって、またここでもう一つダブルバインドが掛かる。そのプレッシャーの中で、若い女の人たちは手も足も口も出なくなってじっと我慢して、そして当たるところが、自分が唯一自由になる子どもだけなんですね。
 そういう状況を知らないと、みんな命の大事さは分かっているんです。要するに、もっと言ってしまうと、この問題を解決するには、老人介護と同じ発想を取り入れてちょうどいいと思います。老人介護、要するに介護保険ができてから、少し女たちは苦しみからその気になれば解放されるようになりましたよね。それぐらいの施策を取らないと子殺しは続くということを私は肝に銘じてほしいんですね。
 そして、例えばちょっとここにあることを読んでみます。簡単に、省略しますけれども、この人が言っていることは、女たちは子育てしている人は常時疲れていると言っているんですね。それは第一に、これまで書いてきたような子育ての現実的な、具体的な、雑用的な、退屈な、体力を要する、忍耐力を要する、泣きたくなるような部分を家庭内で一手に引き受けていることによる疲れであると私は思うと、こう書いています。
 よく子どもなんて子犬と同じだと言いますけれども、この人が言うには、犬は少なくとも自分でできる範囲しか要求しない。食べる、排せつする、眠る、走る。しかも、これを大抵独力で犬は行うことができる。最悪の場合でも外に出してやれば何とかなる。しかし、子どもはそうはいかない。子どもは一人では何もできない。家の中にいて何かしたいときには必ずそばにいる母親を頼ってくる。トイレに行きたい、のどが渇いた、おなかがすいた、パンツはかせろ、鼻水が出た、こういったことを数分ごとに要求してくるベルトコンベヤーに乗った荷物だと言うんですね、部品。
 さらに、子どもは一緒に遊んでほしいと言う、本を読めとせがむ、公園に行ってシーソーに乗りたいと言う、キャッチボールをしてくれと言う、おしっここぼす、うんちこぼす。挙げ句の果て、ジュースこぼす、駄々こねる、それを二十四時間です。夜中にむっくり起き上がってくる。これがけ飛ばして殺した園長さんですね。耐えられなかったですね、人の言葉です、あるかもしれませんし、もう仕事、職業意識を忘れちゃったわけですよね。
 こういう現実は、恐らくこの中でも男性でも子育てをしたことのある人は分かると思います。それを思い出していただきたい。そして、老人介護と同じぐらい、介護保険を作ったのと同じぐらいの施策をしないと、きれい事の言葉を並べたってどうにもならないということを私は政策としてもっときちんと取り上げてほしいと思うんですね。それでないと児童虐待は予防できない。すなわち、児童虐待予備軍の人たちはごまんといる、ほとんどがぎりぎりそこにいるということです。


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○田嶋陽子君

 済みません、さっきちょっと誤解を招いたみたいで、後藤さんからもそんな発言がありましたし、何か私の言い方だと子育てをやっている人が全部苦しんでいるみたいと言うけれども、どうしてそういうレベルになっちゃうのかと。だって、ここでは虐待をしている母親とか、しそうな母親のことを話しているわけですよね。私の話し方が悪かったんだろうと思ったら謝りますけれども、そのレベルに落とさないでください。差別があるといって幸せな女性もいるからとか、すぐそういう反論が出るというのはちょっと違うと思うんですね。構造を話しているんですから。それと同じで、子育てのことも、今虐待しそうな母親、している母親がどういう気持ちでいるかを話したわけです。そのことを誤解しないでくださいね。よろしくお願いします。
 それから、今、両親手帳ということをおっしゃった。進んだなと思ったけれども、私は、両親いない子どももいるわけですから、これから片親で産む、片親という言い方もおかしいと思いますけれども、産むと思いますから、もし皆さんその気があったら、やっぱり親手帳とか保護者手帳に変えてほしいと思う。親でない人がもう子育てしているかもしれないんですよね。ですから、保護者手帳とか、何かその辺はもう少し全般に配慮した方法に変えていったらいいと思います。


田嶋陽子の

「書アート

こもれる日々

      2017615日(木)~621日(水)

    ギャラリー      コンセプト21

 

         (港区北青山3-15-16              TEL03-3406-0466

 

2016年8月~予定

●ZEN展 

2016年

8月22日(月)

     ~29日(月) 

東京都美術館 

ロビー階第一展示室

東京都台東区上野公園8-36

TEL03-3823-6921

開館時間 9:00~17:30 (入館は17:00まで) 

 

●田嶋陽子書アート展

 ギャラリー花の妖精

2016年9月3日(土)

   ~ 9月11日(日) 

 

長野県軽井沢町

発地116-6 

電話0267-48-1273

田嶋陽子歌とトークショ 9/3(土)16時~

●CACA現代

      アート書展 

2016年9月13日(火)

    ~9月18日(日)

アートスペースリビーナ港区北青山3-5-25

表参道ビル4F

 

電話03-3401-2242

What's New

脳ベルshow(BSフジ)

1/20(水)22:00~

1/27(水)22:00~

 

 

田嶋陽子書アート展 & 歌

2016年

6月4日 土~7月24日 日 

笠間日動美術館 

企画展示館1階

茨城県笠間市笠間978-4 電話0296-72-2160

開館時間 9:30~17:00 (入館は16:30まで) 

休館日 月曜日

(祝日の場合は開館し、その翌日が休館)

★田嶋陽子歌とトーク 7/2(土)18時~ 

2016年

9月3日 土~9月11日 日

ギャラリー花の妖精

長野県軽井沢町発地116-6 

電話0267-48-1273)

★田嶋陽子歌とトーク 9/3(土)16時~