戦時性的強制被害者問題についての質疑

●決算委員会

2002年7月15日


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○田嶋陽子君

 社民党の田嶋陽子です。
 今月十八日に参議院内閣委員会で、私たちが提出した議員立法である戦時性的強制被害者問題解決促進法案の趣旨説明が行われる予定です。何とか法案を審議していただきたいと、私もほかの発議者の議員や元慰安婦の女性たちと一緒に、参議院議長を始め与野党を問わず多くの議員たちに働き掛けてきました。
 日本政府はこの問題をサンフランシスコ講和条約等で解決済みとしていますが、このままでは第二次大戦の戦争責任を果たすことにはなっていないと思っています。間もなく、また八月十五日、終戦記念日がやってきます。今年もこのままでは日本政府の態度が世界じゅうから注目され、また批判されます。毎年毎年同じ批判が繰り返されています。私は、このマイナスイメージの日本を何とかしないといけないと思っています。
 そこで、私は、今取り組んでいる従軍慰安婦問題について質問させていただきます。
 元慰安婦の人たちは、実名を公表して、第二次世界大戦中の慰安婦体験を語り始めました。実名の公表で周囲からの風当たりが強く、家族や周囲の人たちにも迷惑が掛かり、とてもつらいと彼女たちは話しています。高齢になっても、忘れたくても忘れられない心の傷と痛め付けられた体の傷の後遺症に日々苦しみながら生きています。自分たちの名誉回復と正義のための闘いです。
 御承知のとおり、韓国、フィリピン、台湾、インドネシアなど出身の元慰安婦の女性たちは大変に高齢化しています。残された時間もそう多くはないこともお分かりいただけると思います。何とか、元慰安婦の女性たちに日本が国として謝罪し、補償金を支払い続けることができないものだろうかと、私たちはNGOの人たちとともに努力してきました。これにこたえる形で日本政府はアジア女性基金を発足させ、政府の拠出金と国民からの募金を募り、一部の元慰安婦の人たちに償い金を渡したり、福祉施設を建設したりしてきました。
 けれども、国民の募金は、不況下ということもありまして、集まらなくなりました。結局、このような国民の善意に頼るやり方では基金の原資も底をつき、安定的な事業運営が難しくなっているということです。こうしてアジア女性基金の償い金が不足した結果、名乗り上げ始めた被害者の人たちに支払えない状況も生まれ、総理大臣始め閣僚も歳費の中から償い金に寄附をしておいでだということが七月二日に報道されました。
 そこで、福田官房長官にお伺いします。
 総理大臣を始め閣僚から寄附を募ることになった経過を簡潔に説明してください。


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○国務大臣(福田康夫君)

 アジア女性基金への閣僚等の寄附につきましては、去る七月二日の閣僚懇談会におきまして私から閣僚のメンバーに対しまして、現在国庫に寄附しております給与の七月分を基金に寄附することについて発言をし、御了解をいただきました。
 これは、政府として必要な協力を行ってきた女性のためのアジア平和国民基金の行っている償い金の支給事業の申請期限が五月一日に到来いたしました。その事業の仕上げ、総仕上げの時期に差し掛かっておる、そういうような節目に当たりまして、過去の例も参考にして寄附を行うことになったわけであります。
 ただいま委員は、基金が資金難であるからということで、ということをおっしゃいましたけれども、そういうことではございません。そういう節目に当たり、各閣僚が基金を支援したいという気持ちの発露として行ったものでございます。


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○田嶋陽子君

 再び福田官房長官にお聞きします。
 厚生労働省より聞きましたけれども、坂口厚生労働大臣は寄附をお出しになっていらっしゃらないとのことです。どの閣僚が寄附をして、どの閣僚が寄附をしておいででないのか、そこにはどのような判断が働いているのでしょうか。


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○国務大臣(福田康夫君)

 全閣僚、総理も含めまして全閣僚、そしてまた内閣官房副長官が寄附をいたしました。
 ただし、国務大臣の中で一人、これは、参議院の比例代表の扇国土交通大臣は、これは公職選挙法の関係がございまして寄附ができないということでございますので、これ以外の方、今申し上げた方々は皆さん寄附をいたしました。


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○田嶋陽子君

 川口外務大臣にお伺いします。
 川口外務大臣はどのようなお考えで償い金に寄附を決められたのでしょうか。


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○国務大臣(川口順子君)

 私は、この慰安婦の問題というのは、当時、軍の関与の下に多くの女性の尊厳を傷付けた問題であったと思います。
 そういうことは基本的な考え方でございますけれども、今回寄附をいたしましたのは、こういう、今、官房長官おっしゃいましたように、事業の仕上げの時期に、そういう節目でございますので、昨年もいたしましたけれども、寄附をいたしましたけれども、昨年同様に、閣議メンバーとして基金を支援したいと考えたということでございます。


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○田嶋陽子君

 福田官房長官にお伺いします。
 これは議論の多い基金ですが、すべての被害者が喜んで受け取っているわけではないという事実があります。なぜ被害者たちは基金からの償い金を受け取りたくないと思っているのか、御存じでしょうか。


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○国務大臣(福田康夫君)

 いろいろなケースがございまして、喜んでくだすっている方もいらっしゃいます。そして、そういう中で、名前が出ては困るというような方もいらっしゃいます。私は、多くの方に喜んでいただいているのではないかと思います、実際はね。あと、拒否されていらっしゃる方もおられるということも、そういうことも存じております。


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○田嶋陽子君

 なぜ拒否されているのか御存じでしょうか。もう一度お願いします。


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○国務大臣(福田康夫君)

 個々に当たらなければ分からないことかもしれませんけれども、いろいろな事情があると思います。その中でもって、日本政府が正式な謝罪として出すべきであると、こういうような考え方をされていらっしゃる方が受取を拒否しているという話も伺っております。


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○田嶋陽子君

 そのとおりなんですね。その償い金を受け取ろうとしない元慰安婦の人たちは、その中の一人の人である韓国の李容洙さんはこう言っています。民間が戦争したわけではない、民間から集めた金をもらうことは逆に売春婦にされたことと同じという意味のことを話しています。
 私は、この言葉は真実を突いていると思います。この人たちは自分の意思で慰安婦になったわけではありません。それなのに、世間からは今もってこの人たちは金が欲しくて慰安婦になったんだと思われているわけです。それがつらいと被害者たちは訴えています。その偏見の中で被害者たちは暗い一生を送ってきています。
 日本政府が、先ほど外務大臣もおっしゃったように、強制的に慰安婦を作り、国連人権委員会はそれに対して性奴隷という言葉を使っていますが、その性奴隷にしたという事実をはっきり認めて、このことに対して国が謝れば、彼女たちの名誉は回復されます。戦争は国が起こしたものであって、民間が起こしたものではありません。個人や民間の金で補償金を支払うのではなくて、国が強制的に慰安婦にさせたという事実に対して、国の名で責任を認め、国の名で補償金を支払うべきだと思っています。
 福田官房長官にお尋ねします。
 国連人権委員会のクマラスワミ報告やマクドゥーガル報告では、従軍慰安婦に個人補償をするよう意見書が出ています。ILO専門家会議でも補償を求める声が出ています。そのことに関して官房長官はどのようにお考えでしょうか。


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○国務大臣(福田康夫君)

 そういうような御意見があることは承知しております。
 法的に申し上げれば、このさきの大戦にかかわる賠償並びに財産及び請求権の問題につきましては、関連の条約等に従いまして、我が国として誠実に対応してきているところでございます。
 他方、いわゆる従軍慰安婦問題につきましては、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷付けた問題と認識しておりまして、政府としても、これまでおわびと反省の気持ちを様々な機会に表明をしてきておるところは、御案内のとおりだと思います。
 補償につきましては、御指摘のようなお考えをお持ちの方々もおられるかとは存じますけれども、さきの大戦に係る法的処理において政府が誠実に対応してきたこと、また、加えまして、日本国民と政府のおわびの真摯な気持ちの発露としてアジア女性基金の事業が実施されてきているという経緯がございます。そういう経緯について御理解をいただきたいと思っております。


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○田嶋陽子君

 法的処置云々に関しては法案審議のときにまた議論したいと思いますが、ここでは私は一つの提案をしたいと思います。今おっしゃったように、今までの流れからいって、この従軍慰安婦問題に国が真正面から取り組むのは難しい課題かとも思います。
 そこで、提案があります。いわゆる従軍慰安婦問題の早期解決に向けては、ハンセン病の例に倣っていただくのはどうかと思います。ハンセン病の場合には、国の最高責任者である総理、その陰の功労者と言われた福田官房長官の英断でこの問題は解決し、多くの患者や関係者たちに喜びをもたらしました。この慰安婦問題の解決に向けても、官房長官にはハンセン病の場合と同じ考えで臨んでいただくことはできないものでしょうか。そうすれば、日本のイメージ、マイナスイメージがプラスイメージに変わり、日本への国際的な評価が大幅に上がることは確かです。
 お考えをお聞かせください。


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○国務大臣(福田康夫君)

 この問題につきましては、過去にいろいろな方々が携わってこられたわけでございまして、そしてその結果、またその経過においても、ただいま私が申し上げましたようなそういうような説明をさせていただいてきておるわけでございまして、私もそのような考えに変わるものではございません。
 我々も、そういうような過去にあったことについていろいろな思いがあるわけでありますけれども、しかし、我が国としてできる限りのことはしてまいりましたし、今後もそういう必要に応じて対応していかなければいけないかと存じております。


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○田嶋陽子君

 政府はいつも同じような答弁を繰り返されます。それでも、少し考えていただきたいと思います。
 そこで、しつこく、ハンセン病解決への私は政府の決断は英断だったと思って敬意を抱いております。私が考えるハンセン病患者と元慰安婦の女性には共通点があります。いずれも高齢で残された人生に限りがあること。つらい思いを抱えながら人生を過ごしてきて、最期を迎えるまでに何とか積もり積もった思いを晴らして、心安らかに残りの人生を送りたい。そして、加害者である日本政府の責任をはっきりさせて謝罪と補償を求めたいというその点です。
 昨年五月二十五日に、総理は、総理大臣談話を発表なさいました。その中で、総理は、今回の判決の認容額を基準として、訴訟への参加・不参加を問わず、全国の患者・元患者全員を対象とした新たな補償を立法措置により講ずることとし、このための検討を早急に開始すると。そして、名誉回復及び福祉増進のために可能な限りの措置を講じるとしておられます。そして、患者・元患者から要望の高い年金の創設などを検討事項に掲げ、今年四月から、一人当たり月額十七万から二十六万円が支払われています。
 私が今回注目したのは、十三年度の一般会計予備費の中に、ハンセン病予備費としてハンセン病患者補償金、約六百八十三億があったことです。本来これは予算化して支払うものですが、各省庁の予算に計上できなかったことからハンセン病補償金支給に関する法律の施行に伴い、内閣の責任で支出を決めた経費です。具体的に言うと、一人当たり八百万円から一千四百万円の幅で補償しています。この補償金も年金も、小泉首相と福田官房長官の昨年の英断がなければ元患者の手には渡りませんでした。
 私は、裁判の原告を始め、残された人生がそれほど長くない被害者たちが自分の一生を国の判断の誤りのために台なしにされたと訴えるとき、その声に耳を傾けないわけにはいかないと思っています。心安らかに一生を終えることができるよう私たちは努力し続けたいと思っています。この慰安婦問題は、国のトップである総理や官房長官を始め、閣僚方々が今こそイニシアチブを取って解決すべき問題であると私は考えております。
 福田官房長官、御答弁よろしくお願いします。


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○国務大臣(福田康夫君)

 御高見、確かに承りました。お考えもよく分かりますが、我が国としては、政府といたしましては、先ほど申し上げたとおりの対応をしてまいったわけでございまして、今後もその考え方というものは変わらないだろうというように思っております。


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○田嶋陽子君

 それでは、少し福田官房長官には考える時間を差し上げます。
 今回、私たちが提出した戦時性的強制被害者解決促進法案の審議ですが、これは内閣委員会で行われることがやっと決まりました。しかしながら、私たちの法案趣旨説明も、そして審議も、福田官房長官は欠席なさるということですね。福田官房長官は内閣委員会の担当大臣でいらっしゃると思いますが、変更はまだありませんか。


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○国務大臣(福田康夫君)

 いや、今説明聞いたんですけれども、この従軍慰安婦問題については、私が必ずしも担当大臣じゃないということのようであります。総務省とか、それからほかの省庁、外務省、それでまた、私ども全く関係ないというわけではないかと思いますけれども、そういうようなことでございますので、内閣委員会に出席するかどうかは国会でお決めいただくことでございますので、その辺は御理解をいただきたいと思います。


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○田嶋陽子君

 でも、官房長官は内閣担当大臣でいらっしゃいますよね。必ず御出席願いたいと思います。私たちは大臣が出席なさらないと聞いて慌てふためいていましたけれども、大臣はじゃ出席なさるおつもりでいらしたんですね。分かりました。それでは楽しみに待っております。
 実は大臣は、三月十九日の内閣委員会で、私が官房長官に、審議の過程において従軍慰安婦の人たちや研究者の人たちを国会に呼んで、是非話を聞いていただきたいと思うけれどもいかがなものかと申し上げましたら、大臣は、国会の意思を尊重するというとても前向きな発言をしてくださったんですよね。ですから、大臣が出席にならないなんて聞いて、だれがそんなことを言ったのか分かりませんが、私たちは本当にびっくりしていたんですけれども、出席なさると聞いて安心しました。よかったですね。
 それで、私は、もし官房長官が出席にならなければ総理に出ていただきたいと思っていたんですね。マイクが邪魔ですね。見えませんね、お顔が。
 どういうことかと申しますと、またその辺でやじが飛ぶかもしれませんけれども、この問題は、韓国では金大中大統領が独自の従軍慰安婦対策を取って、日本に対して厳しい発言をしています。慰安婦問題は日本政府の問題であって日本国民の問題ではない、だから国民からお金をもらう筋合いはなく、そういうものをもらえば事の本筋をすり替えることになると。これは雑誌「世界」九八年十月号ですが、そこで対談しておられます。相手が大統領なら、日本もこの戦後補償問題には首相が答えるのが当然かと私は考えています。
 ですから、官房長官お出になってくださると伺って大変よかったんですが、もし駄目ならば私は首相に御出席願いたいと考えていました。それでないと、女性をべっ視することだけでなくて、やっぱり相手の国をべっ視することになると国際関係上望ましいこととは思われなかったからです。
 それで、私はもう一度しつこく申し上げます。
 まあ一日考える時間を差し上げる、二日ありますから、内閣の委員会までには、考えてください。もう一度、ハンセン病の例のような形で国のトップの方の判断を、英断を期待しております。もう一度、よろしかったらお答えください。


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○国務大臣(福田康夫君)

 時間の余裕をいただいたそうでございますから、ようく、ようく考えてみます。


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○田嶋陽子君

 とてもうれしいお答えです。ようく考えて、将来の日本のためにも、日本の国際的評価のためにも、英断、熟慮なさることをよろしくお願いいたします。

田嶋陽子の

「書アート

こもれる日々

      2017615日(木)~621日(水)

    ギャラリー      コンセプト21

 

         (港区北青山3-15-16              TEL03-3406-0466

 

2016年8月~予定

●ZEN展 

2016年

8月22日(月)

     ~29日(月) 

東京都美術館 

ロビー階第一展示室

東京都台東区上野公園8-36

TEL03-3823-6921

開館時間 9:00~17:30 (入館は17:00まで) 

 

●田嶋陽子書アート展

 ギャラリー花の妖精

2016年9月3日(土)

   ~ 9月11日(日) 

 

長野県軽井沢町

発地116-6 

電話0267-48-1273

田嶋陽子歌とトークショ 9/3(土)16時~

●CACA現代

      アート書展 

2016年9月13日(火)

    ~9月18日(日)

アートスペースリビーナ港区北青山3-5-25

表参道ビル4F

 

電話03-3401-2242

What's New

脳ベルshow(BSフジ)

1/20(水)22:00~

1/27(水)22:00~

 

 

田嶋陽子書アート展 & 歌

2016年

6月4日 土~7月24日 日 

笠間日動美術館 

企画展示館1階

茨城県笠間市笠間978-4 電話0296-72-2160

開館時間 9:30~17:00 (入館は16:30まで) 

休館日 月曜日

(祝日の場合は開館し、その翌日が休館)

★田嶋陽子歌とトーク 7/2(土)18時~ 

2016年

9月3日 土~9月11日 日

ギャラリー花の妖精

長野県軽井沢町発地116-6 

電話0267-48-1273)

★田嶋陽子歌とトーク 9/3(土)16時~